「今年は減量して、カッコイイ身体を披露しよう。」
そう考える方もおられると思います。ところが、期待に胸を膨らませ減量してみたら、筋肉が減って身体が縮んでしまった、なんて経験はないでしょうか。今回は、獲得した筋肉量を維持する減量法についてご紹介していきます。
ゆっくりと体重を落とす
体重を一気に落とそうと、カロリー摂取量を極端に減らしてしまうことがあるようです。こういう減量の仕方をしてしまうと、減らしたくない筋量を減らしてしまう危険性が高くなります。また、ゆっくりと体脂肪を落とす方が、筋量や筋力の維持につながる可能性も考えられます。
例えばこの研究では、ゆっくり減量した場合と一気に減量した場合とで、除脂肪体重の変化を比べています。除脂肪体重は筋量を正確に表すわけではありませんが、変化をある程度予測することができます。
以下のようなペースで減量するグループに分けています。
- ゆっくり減量:1週間につき、体重の0.7%を落とす
- 一気に減量:1週間につき、体重の1.4%を落とす
どちらのグループも体重を同じくらい減らすことを目標としました。そのため、減量が終わるまでに、ゆっくり減量するグループは約8週間、一気に減量するグループでは約5週間かかりました。
各グループの除脂肪体重は次のグラフのように変化しました。
ゆっくり減量したグループでは、除脂肪体重がやや増えているのに対し、一気に減量したグループではほとんど変化がないか、やや減少傾向だったことがお分りいただけると思います。ゆっくり減量した方が、筋量が失われるのを最小限に抑えることができると言えそうです。
実際に、筋肉の損失を最小限にするためには、1週間あたりの減量幅を体重の0.5〜1.0%程度に抑えることをオススメします。
例えば体重が70kgの方の場合は、1週間あたり350〜700gの体重を落とすのが目標となります。これは、体重が維持できる食事量から、1日あたりのカロリー摂取量を360〜720kcalほど減らすことで達成が可能です。
体脂肪量が多い方の場合は、上限値の1%に近い数字で減量を進めても筋量維持ができることが多いです。反対に、落とす体脂肪量が少ないコンテスト前のボディビルダーであれば、下限値の0.5%やそれ以下の数字でゆっくり落とした方が筋量を維持できる可能性が高いです。
時間に余裕を持って、ゆっくりと辛抱強く減量に臨むのが良いと言えます。
いつもよりたんぱく質を多く摂る
カロリー収支がマイナスである減量中は、身体は筋肉を使ってでもエネルギーを得ようとします。筋肉がエネルギーとして使われてしまえば、筋肉は徐々に減っていきます。こういうことを防ぐためには、たんぱく質をいつもよりも多く摂ることが役に立つ可能性があるようです。
徐脂肪体重1kgあたり2.3〜3.1gのたんぱく質を摂ることが研究者からススメられています。ここまで摂取量を増やすのにはいくつか理由があります。
- たんぱく質を多く摂ることで、満腹感を得やすい
- 減量中の「気分的な落ちこみ」を抑えるという、精神的な面でも効果があるかもしれない
- 健康な人が長期に渡ってたんぱく質を多量に摂っても、身体に対する害はほとんどないと考えられる
また、体脂肪量が少ない人ほど、上限に近い数字を摂ることで筋量を維持できる可能性があります。少なくとも、増量期に摂っていたたんぱく質の量は下回らないほうが良いと言えそうです。
炭水化物は多く摂る
カロリー収支とたんぱく質量を管理している限りでは、低脂肪ダイエットか低炭水化物ダイエットかの違いで減量効果に差はほとんどありません。しかし、減量中に可能な限り筋量を維持するならば、炭水化物をしっかり摂る方が良さそうです。
炭水化物を多く摂ることで、筋トレ中に主なエネルギー源として使われる「筋肉内のグリコーゲン」を少しでも多く貯めておけると考えられます。筋グリコーゲンの量が多ければ、質の高い筋トレを行える可能性が大きくなります。質の高い筋トレを行うことは、筋量の維持につながりやすいです。
総カロリー摂取量の20〜30%を脂肪から摂り、残りを炭水化物からとするのが理想です。
減量が短い期間で行われることを前提に、脂肪摂取量を総カロリー摂取量の15%まで落とし、その分炭水化物を摂ってもらう場合があります。特にボディビルダーやフィジーカーの方に、こうした摂り方をしていただくことがあります。
まとめ
ここまでをまとめると、次の表のようになります。
減量ペース | 1週間あたり、体重の0.5〜1.0% |
たんぱく質摂取量 | 徐脂肪体重1kgあたり2.3〜3.1g |
脂肪摂取量 | 総カロリー摂取量の20〜30% |
炭水化物 | 残りのエネルギー全てを炭水化物から摂る |
ちょっとした工夫で、減量中に筋量が減るのを抑えることができます。次の減量では、ぜひお試しください。
Atlas Motohashi