カロリー摂取とカロリー消費

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カロリー摂取量とカロリー消費量のどちらかが多くなることで、体重が減ったり増えたりします。カロリー収支がマイナスであれば減量しますし、プラスであれば増量していきます。仕組みとしてはとても単純です。

しかし、同じ食事をしているはずなのに、体重が落ちやすい人と落ちにくい人を見かけることはないでしょうか。これは、カロリー収支が食事量と運動量とだけでは決まらないことが原因です。これを理解するには、もう少しだけ深くカロリー収支を見ていく必要があります。

今回は、カロリー収支について詳しくご紹介していきます。

「カロリー」とは

1カロリーは、1立方㎝の水の温度を、摂氏14.5℃から15.5℃まで1℃上げるのに必要な熱量(エネルギー)を指します。

カロリー摂取量

食べたものに含まれる熱量をカロリー摂取量と言います。

カロリー消費量

身体が消費する熱量のことで、筋トレやランニングなどの運動だけで使われているわけではありません。カロリー消費量は、いくつかに分けることができます。安静時代謝量、食事誘発性エネルギー代謝量、身体活動による代謝です。身体活動による代謝は更に、エクササイズによるものとそうでないものとの2つに分けられます。また通常は程度が小さいですが、体外に排泄されてしまう熱量も存在します。

では、それぞれについて見ていきましょう。

安静時代謝量(Resting Metabolic Rate : RMR)

RMRは、生命維持に最低限必要な、安静時に消費される熱量です。例えば心臓を動かしたり呼吸をしたりするのに使われるものです。これは総エネルギー消費量(Total Energy Expenditure : TEE)の60〜70%を占めます。1日のカロリー摂取量によっても左右されます。例えばカロリー摂取量を一時的に増やすと、10〜15%までRMRが増えます。反対に、減量が長い期間続くと、RMRは落ちていきます[1]。

そのほか、除脂肪体重や年齢によってもRMRは変動します。

食事誘発性エネルギー代謝量( Thermic Effect of Food : TEF)

TEFは、食べた物を消化・吸収しているうちに使われてしまう熱量で、平均的に、カロリー摂取量の10%を占めます。しかし、カロリー摂取量を構成する三大栄養素すべてのTEFが10%というわけではありません。あるレビューでは、たんぱく質はアミノ酸の構成次第で20〜35%のTEFを有し[2]、たんぱく質が他の2つの栄養素よりも高かったのです。この数値は調査ごとにばらつきがありますが、たんぱく質が他よりも高いTEFを持つということは一貫しているようです。たんぱく質を多く摂っても太りづらいと言われる理由の1つがこのTEFの高さにあります。

身体活動

これは動き回っているときに消費される熱量のことで、更に以下の2つに分けることができます。

エクササイズ以外の身体活動で消費される熱量(Non-Exercise Activity Thermogenesis : NEAT)

エクササイズではない身体活動で消費される熱量を指します。頻繁に姿勢を変えたり、歩き回ったり、貧乏ゆすりをしたりする際に消費される熱量がNEATにあたります。これは意識はされないものの、様々な要因で大きな影響を受けます。

例えば最近の研究で、8週間に渡る本格的なレジスタンストレーニングを行っている時に、体重1kgあたり3.4gものたんぱく質を摂取したグループと、2.3g/kgのグループとを比較して体重・筋肉量・体脂肪量の推移を見ました。すると前者ではより多くのカロリーを摂取したにも拘らず体重はほぼ変わらず、中身を見てみると筋肉量が増えたのと同時に脂肪量が減り体組成の改善が見られました。後者では同程度の筋肉量が付いたものの、体重と体脂肪が増加しています。このことについて著者は、先ほどのTEFと共にNEATやその他の要因が影響したと考察しています[3]。

また、一時的な過食でNEATによる代謝量が増えたり[4]、個人の体型や生活環境の変化などによっても、大きく変動するようです。

エクササイズにより消費する熱量(Activity-related Energy Expenditure : AEE)

これが皆さんがダイエットをするときに意識的に増やそうとする部分で、目的を持って行うエクササイズで消費される熱量のことを指します。筋トレや有酸素運動などで消費される熱量がこれにあたります。運動によっては、動作の習熟によって運動の効率化が起き、同じ負荷やスピードでトレーニングをしているにも拘らず熱量の消費は抑えられてしまいます。例えば持久的運動であれば、少ないエネルギーで遠くへ速く走れるようにするというのは自然な適応ですね。

糞尿中に排泄されてしまう熱量

殆どのケースで、糞尿による熱量の排泄は無視できると言われています。しかし例えば、他のナッツも同様ですが、クルミのようにラベルに表示されている熱量よりも身体に最終的に利用される熱量は21%少なく、糞尿中に排泄されるという結果もあります[5]。脂質+食物繊維が多いことで、排泄される脂質の量が増えるようです[6]。

パレオダイエットのように野菜などの量が増えている場合、ナッツなどから脂質の摂取が増えているにも拘らず、摂取したカロリーほど体重が増えない、或いは体重が落ちていくのは、たんぱく質の多さに加えてこういうのが理由の1つだとも言われています。

おわりに

ここまで、食事内容によってカロリー消費量が変わるということがお分かりいただけたら幸いです。例えば、たんぱく質はTEFの高さ、NEATを増やす可能性があるという点から、同じ熱量を持っていても比較的太りにくい栄養素と言えることなどです。たんぱく質摂取が食事の量とダイエットの効果に関連してくる大きな理由です。

Atlas Motohashi


参考文献

[1] Eastwood, M. Principles of Human Nutrition, 2nd Edition. Oxford. Wiley-Blackwell. 2003 June. 704p. [リンク]

[2]Halton TL, Hu FB. The effect of high protein diets on thermogenesis, satiety and weight loss: a critical review. J Am Coll Nutr. 2004 Oct;23(5):373-85. [リンク]

[3] Antonio J, Ellerbroek A, Silver T, Orris S, Scheiner M, Gonzalez A, Peacock CA. A high protein diet (3.4 g/kg/d) combined with a heavy resistance training program improves body composition in healthy trained men and women – a follow-up investigation. Journal of the International Society of Sports Nutrition 2015. 12:39. [リンク]

[4] Levine JA, Eberhardt NL, Jensen MD.. Role of nonexercise activity thermogenesis in resistance to fat gain in humans. Science. 1999 Jan 8;283(5399):212-4. [リンク]

[5] Baer DJ, Gebauer SK, Novotny JA. Walnuts consumed by healthy adults provide less available energy than predicted by Atwater Factors. J Nutr. 2015 Nov 18. pii: jn217372. [リンク]

[6] Aragon A. What’s causing the constant feuding between the CICO and anti-CICO camp?. Alan Aragon’s Research Review. 2014 June. pp13-15. [リンク]