トレーニーの間で必ず話題にしたことがあるであろう「たんぱく質」。ボディビルダーのような身体づくりのためには、「体重1kgあたり2gのたんぱく質を摂る」というアドバイスが一般的です。しかし、その指標は多すぎるという専門家もいますし、体重1kgあたり3g以上を摂ることをススメるフィットネス指導者もいます。
ボディビルダーのような身体づくりや体形改善に必要なたんぱく質の量はどれくらいなのでしょう?
今回は、たんぱく質の必要量についてお話していきます。
たんぱく質とは?
たんぱく質は三大栄養素のひとつで次のような役割があります。
- 筋肉をつくる
- 栄養素の輸送
- 酵素の材料
- ホルモンの材料
- 身体の外からの物質を無毒化する
このように、たんぱく質は身体を構成するために重要な栄養素です。もし、たんぱく質を全く摂らないと生命活動の維持自体が困難になってしまいます。
たんぱく質は、肉、魚、豆類、卵、乳製品などに多く含まれます。
たんぱく質の摂取推奨量
厚生労働省策定の日本人の食事摂取基準(2010年版)より、日本人が1日に必要なたんぱく質量は、18歳以上男性では60g、女性では50gとされています。妊婦の場合はこれに5-25gを付加して摂取することが推奨されます。
この量は、特別な運動をしていなく日常生活をしている場合に、生命活動が滞りなく行える必要最低量と考えていただければ良いです。重労働に従事し、生活の活動強度が高い場合や、運動競技者の場合は、摂取推奨量だけでは身体の中のアミノ酸のバランスがマイナスに傾きます。場合によっては次のような弊害が出るかもしれません。
- 筋肉の発達が滞る
- ケガからの治りが遅い
- 病気にかかりやすい
- オーバートレーニングの兆候が出る
身体づくりのためのたんぱく質摂取量
カッコいい身体づくりには、「筋肉をつけていく増量」と、「体脂肪をそぎ落としていく減量」が考えられます。増量であればカロリー収支がプラス、減量であればマイナスになる必要があります。まずは、その前提をもう一度確認してから読み進めていってください。
増量時のたんぱく質摂取量
筋力トレーニングを行い、ボディビルダーのような身体づくりや体形改善を目的とする場合は、より多くのたんぱく質が必要であることが考えられます。
どこが目一杯摂れる上限値なのでしょう?
この研究では体重1kgあたりに1.8gを超えてくると筋タンパクの合成が頭打ちになることが見られています。
ISSNの見解では、運動競技者では体重1kgあたり1.4-2.0gたんぱく質摂取が推奨されています。この公式見解の下限値は持久系競技者の推奨量で、筋力・パワー系の競技者では上限値近くの数字が推奨されています。
また、除脂肪体重(FFM:体重−体脂肪量)あたり1.8〜2.2g/kgまで増やしたほうがいいとする見解があります。体重辺りの計算だと、どうしても体脂肪による個人差が出てしまいます。そのため、除脂肪体重辺りで計算するこのやり方は、理にかなっているかもしれません。
減量時のたんぱく質摂取量
減量が目的の場合、たんぱく質の摂取量をさらに多くしたほうがいいかもしれません。カロリー収支がマイナスの時、身体に必要なエネルギーを確保するために、筋タンパクがエネルギーとして利用されやすくなります。そのため、筋肉量を可能な限り維持しながら体脂肪を落とす場合は、筋肉をエネルギーとして消費しないよう、より多くのたんぱく質摂取が推奨されます。
ボディビルコンテストに向けての準備に対するレビューでは、除脂肪体重(FFM:体重−体脂肪量)1kgあたり2.3〜3.1gのたんぱく質を摂ることで、減量時の筋肉量の減少を最小限に抑えることが出来ると言われています。この際、体脂肪率が低ければ低いほど上限値に近い量の摂取が推奨されてます。
実践編
1日のたんぱく質の必要量はどれくらいなのかを、例を用いて計算してみましょう。
STEP1: 摂取する「たんぱく質」の量を求める
除脂肪体重(kg)×1.8〜2.2g(増量時)または2.3〜3.1g(減量時)
徐脂肪体重60kgの人が徐脂肪体重1kgあたり2.0gのたんぱく質摂取量を目指ざす場合は、以下のようになります。
60kg×2.0g = 120g
STEP2: 1日のたんぱく質源(肉・魚)の量を求める
肉や魚にたんぱく質は多く含まれています。肉であれば100gあたり約20%のたんぱく質が含まれています。以下の計算で1日に必要な肉の量が求められます。
1日のたんぱく質の目標摂取量÷20%
Step1の例であれば、1日に必要な肉や魚の目安量は次のようになります。
120g÷20%=600g
STEP3: 1食あたりのたんぱく質源の量を求める
1食に必要な肉の量を求めるには以下の計算をします。
1日に必要な肉や魚のおおよその目安量÷食事回数
Step1〜2の例を使って、1日に3回食べると仮定すると、1食あたりの食品の重さは次のようになります。
600g÷3食=200g
これが1回に食べたい肉や魚の目安量です。
注意していただきたいのは、ここで求めている食品の重さは調理前のものです。肉や魚は、調理をする過程で水分が抜けてしまいます。また、調理の加減で水分の抜け方が違うため、調理後に重さを計ってもあまりアテになりません。
肉や魚は、調理前に重さを計るようにしましょう。
プロテインはどうするか
食事時間がどうしても取れない人は、プロテインパウダーなどのサプリメントでたんぱく質を補給するのも手かもしれません。
ご自身の生活習慣や好みに合わせてイロイロ試してみてください。
まとめ
今回のポイントをサッとまとめると次のようになります。
- 筋肥大を狙って増量する場合:除脂肪体重(体重−体脂肪量)1kgあたり1.8~2.2g
- 筋量を維持して減量する場合:除脂肪体重(体重−体脂肪量)1kgあたり2.3g~3.1g
最終的には条件や個人の特徴によって調整されるべきではありますが、まずはここで挙げられている量を試してみてください。