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「うまみ」は身体に良くない?

MSG

住んでいる地域の約半数が中国からの移民の方の為、中華レストランも近所に多く、週2回は中華料理を食べているAtlasです。中華料理は「脂っこい」「太る」など悪評もあるのですが、単純な体重コントロールという面だけ見た場合、カロリーの収支を考えたうえで量を調整し食べれば何の問題もありません。むしろ、中華料理は意外とたんぱく質が豊富で野菜がたくさん摂れる料理が多いので、身体づくりには重宝します。さてそんな中華料理ですが、よくフィットネス指導でこんな注意を聞きます。

「中華料理にはMSGが沢山入っているから身体に良くないんだよ。」

MSGは中華料理シンドロームの原因になるよ!」

良く中華料理を引き合いに出され、悪い悪いと言われるMSGって何でしょう?

MSGって何?

MSGとはグルタミン酸ナトリウム(monosodium glutamate)の頭文字を取った略称で、「味の素®」でお馴染み、料理の味を引き立たせてくれる食品添加物を指します。「うまみ」としても有名ですね。MSGは正確にはグルタミン酸というアミノ酸とナトリウム塩を含んでいます。グルタミン酸は、肉などのたんぱく質を構成しているアミノ酸の1つで、肉、魚、牛乳、チーズ、トマトなどの野菜やしいたけなどのきのこ類、そして昆布に非常に豊富に含まれています。このグルタミン酸は、食品から摂っても調味料として添加されたものから摂っても、身体の中では同じ代謝経路を辿ります。

つまり、さまざまな食品に含まれる、普通の栄養成分です。

このMSGを摂ると危険ではないかと言われ始めたのは、1968年のことです。Robert Ho Man Kwok氏が、MSGを多く含むことで知られていた中華料理を食べた後に経験した、胸部痛、痺れ、焼け付くような感覚などの症状を「中華料理店症候群」として報告した事が発端でした。現在は「グルタミン酸ナトリウム症候群」とも呼ばれています。しかし、その後研究を重ねた結果、MSGの摂取による身体への弊害はなさそうだと世界的に認識されてます。

しかし、健康・フィットネス界隈では未だにMSG摂取によって「肥満になりやすい。」「神経・脳に対して有害だ。」「腕が痺れる。」「頭痛を引き起こす。」「吐き気を催す。」といった言葉が飛び交っているようです。

MSGによって本当に人体に害が出る?

こうしたMSG摂取が原因とされる「症状」は有名なのですが、研究においてMSGが人体に対して悪影響を及ぼすという結果はほぼ出ていないようです。この辺は項目も多く、ブログでは書ききれませんので、こんな文献[PDFリンク]やこの記事[リンク]や記事内のリンク先のニュース、そしてこのサイト[Examine.com]あたりを参照されてみて下さい(リンク先は英語です)。MSGの研究は相当されていますので、政府機関の公式見解なども含めて、安全性に関する文献はいくらでも見つかります。

これだけデータは揃っているにも拘らず、世間ではMSGの悪評は中々消えていないようです。もし、今後MSGに対する悪評に接した時は、以下の2つのことを頭に留めておきましょう。

1つ目は、MSGが引き起こすとされる症状は、動物実験の結果が由来している場合が多くあるということです。この動物実験は、MSGを脳へ注射するという手法を用いたり、ヒトに換算すると極端に多い摂取量で研究されたりしており、ヒトがMSGを食べ物に添加して口から少量摂取した場合とはかけ離れています。ヒトが口から食事と共にMSGを摂取した場合、悪影響は見られないようです。(注:MSG単体の摂取で一時的な悪影響が見られています。しかし、常識的にMSGのみを摂るということはまずないと考えられます。)

2つ目は、MSG摂取によって出たとされる症状には、個人の経験談・逸話が多く含まれることです。「MSGに対して敏感である」と感じている人でも、二重盲検法にかけると大多数はMSG由来とされる悪影響が見られなくなることから、悪症状の多くはノーシーボ効果*によるものが大きいのではないかと考えられています。ただ、本当にMSGに対して悪い反応が出やすい人も僅かながらいる可能性はあるようです。これについては他の食品と同じです。

ノシーボとは?

特に偽薬によって、望まない副作用(有害作用)が現われることを、ノセボ効果(ノーシーボ効果、反偽薬効果、nocebo effect)という。副作用があると信じ込む事によって、その副作用がより強く出現するのではないかと言われている。また一方、薬剤投与を継続していても被験者が「投与されていない」と思い込むことによって薬剤の効果がなくなるケースがあり、これをノセボ効果と呼ぶこともある。

Wikipedia 偽薬より[リンク

以上から、MSGを直接脳内へ注射したり、アレルギーなどで本当に悪い症状を引き起こしたりしてしまう場合以外は、MSGが少々料理に添加されていても過剰に心配する必要はないと考えます。

世界中にある多くの機関は、現在MSGを危険な食品添加物としては認識しておりません。日本においても1960年に安全性が確認され、使用上限値は設けられておらず[リンク]、アメリカのFDAにおいても[リンク]、欧州連合においても[リンク]、WHOの設立したJECFAにおいても[PDFリンク]、そして私が居住するカナダにおいて[リンク]もその安全性は確認されています。勿論、旨味が十分に引き出されるよりも大量に使用する意義は見出されませんし、大量摂取を推奨するわけでもありませんが、常識の範囲内で使っていければいいのではないでしょうか。

MSGの量を含めた使用の最終判断は、個人の好みも影響してくるかもしれません。余談ですが、一度興味本位でMSG抜きの中華を注文したことがありますが、とても淡白で物足りない味でした。。。

例えば、MSGを加え味が良くなることで年配の方の食事が進み、栄養状態が良くなるなんていう文献[リンク]もあるので、この調味料は様々なことに利用できそうだなと個人的には思います。いずれにしても、正しい情報を持って食生活を楽しみたいですね。

Atlas Motohashi
写真: Copyright: number1411 / 123RF Stock Photo

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