皆さんは筋トレが終わった直後にプロテインを飲んでいますか?筋力トレーニングに熱心な人であれば雑誌やネットの情報を通して、「筋トレ直後にプロテインを補給することで、より筋肉が発達する。」と聞いたことがあるかもしれません。でもこれって本当に守ったほうがいいのでしょうか?今回はプロテインを飲むタイミングの重要性について見ていきましょう。
筋肉を増やすのに、たんぱく質は必要?
筋トレだけに限らず日常的に運動している人は、1日中座りっぱなしの生活をしている人と比較して、より多くのたんぱく質が必要であることがわかっています。
特に、筋力や筋肉量を求めている時のたんぱく質の必要量は、持久系の競技などと比較しても多くなることが分かっています(この記事)。また、筋肉量を出来るだけ維持しながら体重を落としていきたい場合は、さらに多いたんぱく質摂取量が必要になるかもしれません(この記事)。もちろん、これは個人の運動量や活動強度や身体の反応を考慮する必要があります。
また、カロリー収支がプラスであることも筋量を増やすには重要です。
たんぱく質摂取に最適なタイミングはあるか?
次のようなタイミングでたんぱく質を摂ることで、筋タンパク合成の増えることが確認されています。
- 運動前
- 運動直後
- 運動24時間後
たんぱく質を摂ると良さそうなタイミングは、筋力トレーニング前後のかなり長い時間の範囲で存在することが分かります。
つまり、必ずしも「筋トレ直後」にたんぱく質を摂った方がいいとは限らないのです。
筋力トレーニング経験者に対して、たんぱく質をどのタイミングで摂ればいいのかを調べた研究を2つ見ていきましょう。
1つ目の研究ではトレーニング前後でプロテインと炭水化物を摂取したほうが、筋力トレーニングから離れた時間帯にプロテインを摂った場合よりも、筋肉量の獲得につながりました。
しかし、もう1つの研究では、最初の研究と同じような設定で研究を行ったにもかかわらず、同様の結果は得られませんでした。後者の研究は、被験者の1日のカロリー収支がマイナスであったことが指摘されており、それが結果に影響した可能性はあります。
たんぱく質摂取のタイミングが筋力や筋肉量の獲得にどれだけ影響を及ぼすのかを長期的に調べた研究を解析したメタ解析では、筋トレの前後でプロテインドリンクを摂ってもそうでなくても、1日のたんぱく質の摂取量が同じであれば獲得できる筋力と筋肉量に差は見られなかったということです。仮に差が出たとしても、それはごくわずかであるかもしれないと言われています。
しかし、プロテイン摂取のタイミングによって獲得できる筋肉量にほんのわずかでも差があれば、ボディビルやフィジーク競技に参加する人には意味があるかもしれません。わずかな差が競技成績につながる可能性は否定できないからです。したがって、競技参加者は筋力トレーニング直後のプロテイン摂取をしても「損はない」のではないかなと個人的に考えます。
個人の生活習慣・生活リズムを考慮する
筋力トレーニング直後にプロテインを摂るかは、1日の食事パターンや筋力トレーニングの実施時間を考慮したほうがいいです。
筋力トレーニングの様に高強度の運動では、筋グリコーゲンが大事なエネルギー源となります。摂った炭水化物を筋グリコーゲンとして筋肉内に蓄えるには少し時間がかかり、100gの炭水化物の場合は、3〜4時間かかります。このことから、運動前の大きな食事は3〜4時間前に済ませるのが理想的と考えられます。しかしこの食べ方の場合、最後の食事からトレーング終了まで、かなり時間が開くことになります。
激しいトレーニング後にしっかりとした食事を摂れる人もいますが、そうもいかない人はプロテインでサッとお腹を満たし、少し時間をおいてから大きな食事を摂るというのも方法のひとつかもしれません。
まとめ
プロテインの摂取タイミングよりも、たんぱく質の1日の合計摂取量が大事だと考えられます。一般的な体形改善や健康増進が目的ならば、筋力トレーニング直後にプロテインを飲むことにこだわる必要はないと思います。ボディビルやフィジークの競技で上位を目指す人やわずかでも筋肉量を獲得したい場合は、トレーニング前後でプロテインを摂取しても、効果の保証があるわけではないですが、損はないと思われます。
他の食事時間との兼ね合いで、トレーニング後に軽くお腹を満たす目的でプロテインを活用できる可能性があります。
トレーニングの目的や個人の嗜好や生活習慣などを見て、筋力トレーニング直後にプロテインを飲むかを判断していいと思います。ぜひ自分なりの摂り方を模索してみてください!
Atlas Motohashi
追記
英語がわかる人は、以下の動画が詳しい解説しています。一度ご覧ください。
アイキャッチ画像:Copyright: cepn / 123RF Stock Photo