ある日Twitterを眺めていると、松岡修造氏を喩えに出したこんなツイートがリツイートされていました。
「相関関係と因果関係の誤謬」は常に意識せねばならない。松岡修造がいないと気温が下がるというデータから「松岡修造が気温を上げている」と即決するのではなく、「松岡修造が気温の低下を予測して日本を出て行く」という可能性も考慮する必要がある。「修造渡り鳥仮説」と呼ぼう
— イスカリオテの湯葉 (@yubais)
2014, 12月 17
さすが松岡修造氏。こんな為になるツイートにも登場されるんですね!
当然のことながら、このツイートの内容や「松岡修造氏が海外に出たから大雪になった。」というのはネタです。
「Aという現象が見られた時にBという現象が観察された。よって、AはBが起きた原因である。」
上のような、観察された現象の相関関係から因果関係を導く論理の組み立て方は、健康・フィットネス系の記事に多く見られます。 或いは、情報の発信者がわざとやっているケースすらあります。
今回は、「相関関係を見ても因果関係は分からない」ということについて見ていきましょう。
アイスクリームが人を殺す?
相関関係が必ずしも因果関係を示しているとは限らないことを説明した、英語圏で良く使われる例をひとつご紹介します。
「暑い日には殺人の件数が増えるというデータがあります。(現象A)
そして同じく暑い日にはアイスクリームがよく売れるということが統計で分かっています。(現象B)
だからアイスクリームは殺人事件を誘発すると言えます。(おかしな結論)」
実際には2つの別々の事象なのですが、相関関係から因果関係を導き出そうとするとこの様なロジックが生まれてしまいます。
こんな書き方をしているフィットネス関連の記事、読んだことありませんか??
“原因と結果”の順番は相関関係からは分からない
また相関関係を見ただけでは、仮に因果関係が2つの現象の間で存在していたとしても、どちらが原因でどちらが結果かまでは分からないというケースもあります。どちらが原因で、どちらが結果なのかを確認するには、別の研究が必要になります。
健康系の情報で見られた例を挙げてみましょう。
過体重の方の食生活を見ると、人口甘味料の摂取量が多かった。(相関関係)
だから、人口甘味料の摂取をすると太る。(良く記事などに書かれる文言)
観察された相関関係から仮説を立てるという意味で、この過程は必要かつ大事なのですが、観察されているからといって因果関係の順番までを示しているわけではありません。このケースで言うと、「体重を気にしているからこそ人口甘味料の清涼飲料水を飲んでいる。」ことだって考えられるのです。
人口甘味料の場合はその後、「糖類に取って代わって摂った場合、人口甘味料の摂取はむしろ体重を落とした。」という研究が発表されています。
健康フィットネス界隈で見られた例
その他にも健康フィットネス界隈で見られた相関関係と因果関係をごちゃ混ぜにした例を見ていきましょう。
- 足の速い選手は体幹が強い ▶︎ 体幹トレーニングをすると足が速くなる。
- 握力が強い人ほど長生きだった ▶︎ 長生きするには握力を鍛えよう。
- 筋トレしている人は背が小さい人が多い ▶︎ 筋トレをすると背が伸びない。
- ○○を食べている人は××(癌・骨折・その他のもの)のリスクが△倍だった。○○を食べるのは危険だ!
(この場合、普通はその他の要因もたくさんある為簡単には結論付けられないです。)
この相関関係と因果関係をごちゃ混ぜにした書き方は、健康・フィットネス界隈の記事でよく見られます。記事を読む時は「これって相関関係はありそうだけど、因果関係はまだ言えないんじゃないか?」と疑ってみるようにしてください。
Atlas Motohashi