今回も巷にはびこるフードファディズム (健康であるといわれている食品だけを摂ろうとすること) を検証する内容にします。このネタを多めにするのには理由があります。ネット上で広まるフードファディズム関連の、特にガセネタは正しい情報よりも反響がよく、ましてや有名人や医師などの肩書きを持つ人が発信することで拡散の効果も激増してしまっています。最近ではフィットネス指導者にまで影響が及んでいて、多くのフィットネス指導者がガセネタをSNSでそのまま発信するケースが多く、発信者の影響力がある場合は後々に大変な問題になるからです。
さて今回は「遺伝子組み換え作物」 (以下GMO) について、情報拡散の前に少し知っておいてほしいことをご紹介していきます。
ネットでシェアされるネズミの写真
私も情報収集のためにインターネットをよく利用しますが、GMOネタが流れてくると必ずといっていいほど「GMOを食べてガンが発症したネズミ」の写真が付いてきます。
ネズミの身体のいたるところに腫瘍ができた写真で、はっきり言ってすごく怖いです。私もしばらくの間はこの写真によって、「ああ、GMOてヤバいんだな。」と思っていました。
この写真の元ネタは2012年に発表されたこの論文です。リンクを踏んでみると分かりますが、実はこの論文、一度論文が撤回されています。バイアスがかかっていた、とのことです。この研究は相当に批判を受けています。
この一度撤回された論文(その後文章を変えて再掲)を「これが絶対の証拠だ!」と引用するのはおかしい話で、「GMOは危険」というのをその写真を利用して主張するのはいくらなんでも無茶ではないでしょうか。センセーショナルなこの論文だけが一人歩きしていますが、GMOの安全性に関しては長年数多くの研究がされています。
実際にGMOによる害は出ているのか?
GMOの実績はメデタく30年を超えたそうです。意外と長い期間の実績だと思います。言われているほど危険なものであれば相当の被害が報告されてしかるべきですが、実際に調べてみても際立った害は報告されていないというのが現状のようです。複数の団体が見解を出しています。むしろ、関連の文献を辿ると分かりますが、害は見当たらないというものばかり見つかります。人間だけではなく、家畜も飼料に多くのGMOが使われてきていますがこちらも害は報告されていないようです。(コレ)(コレ)(コレ)(コレ)などなど…
未知のリスクはある?
最近の反対派の論調は、「GMOは将来的に害が出る可能性がある」という非常に弱いものになってきているそうです。それを言ってしまうと、身の回りにある殆どのものがそうなのではとツッコミたいところですが。。。
例えばこの研究で、食べたもの (GMOではない) に含まれているDNAの一部が分解されずに体内に取り込まれ、肝臓にくっついていたのが確認されました。このことから、摂取したGMOのDNAも細胞に受容することが考えられ、身体に悪さをするかもということが未知のリスクとして一部で言われています。考えられなくもない理屈です。
こういうもっともらしい仮説がある一方で、過去30年以上に渡ってGMOによる害が殆ど報告されていないことから、更にこれから食べ続けて状況が激変するのかというと正直疑問に思います。詳しく研究して何か見つかるかもしれませんし、見つからないかもしれません。未知のリスクに関しては否定できないですが、同時に「ある」とも言えません。
以上述べてきた情報によってGMOを食べてOKとするか、NGとするかは信条や信念もあるでしょうし、最終的には個人の判断になるのかなと思います。私個人としては、仮に食品にGMOが使われていても何も気にしないと思います。それは、お肉を選ぶ時も同じです。(飼料にGMOが使われていることも多いので。)
まとめ
ネット上でGMOに関しては相当の悪評ばかりが目立ちます。しかし、情報を集めてみるとどうもその主張は眉唾なように思えます。少なくとも現段階では (30年以上実績がある現段階では) 際立った害が殆ど報告されていないというのが現実のようです。未知のリスクに関しては否定できないです。これら情報を基にしての最終判断は個人の信条や信念などにもよるのと思います。ただし、満遍なく情報を集めたうえで判断していただきたいです。
いずれにしてもフィットネス指導者がGMO関連の情報を発信する際、ここで挙げた情報は知っていただきたいです。拡散には細心の留意を払いたいものです。
Atlas Motohashi