エナジードリンクは安全か?

エナジードリンク サプリメント

エナジードリンクとカフェインの摂りすぎによる死亡事故が起きたことで、SNSでこのニュースがシェアされていました。大変残念なことです。このニュースは、記事の内容から「疲労時におけるカフェインの、長期に渡る大量摂取とアルコールの併用」が示唆されていますが、一部ではエナジードリンクそのもののバッシングがありました。個人的にはあまりエナジードリンクを好きではないのですが、情報が少ない状態で闇雲に危険性を煽るのも違うと思っています。今回はエナジードリンクに関する内容をまとめてみようと思います。

エナジードリンクとは?

エナジードリンクは、カフェイン、糖類(炭水化物)、アミノ酸、ビタミン・ミネラルが配合されている清涼飲料水です。海外製品にはハーブも配合されていますが、日本国ではエナジードリンクは食品衛生法により清涼飲料水に指定されているため、それらは配合されていません。製品によって配合されている成分の量や割合は全く違います。カフェインが含有されている点と、糖の濃度がやや高めなのが普通のスポーツドリンクとは違います。エナジードリンクは清涼飲料水ですので、滋養強壮や栄養補給は謳っていけないとのことですが、研究では気分の高揚や覚醒を含む精神面と、身体活動(有酸素運動・無酸素運動)に対してパフォーマンスを高める効果が見られています。

メーカーが主張していることとは別に、効能のある成分として現在確認されているのは、カフェインと糖のみのようです。それ以外の成分(アミノ酸、ビタミン・ミネラル、ハーブなど)に関しては未だ本当に効果が出ているのかは立証されていません。含まれている成分の多くは研究で効果が明確になっていないか、エナジードリンクに含まれている量が、研究で効果を出した量よりも遥かに少ないかのどちらかです。

しかし、カフェインがパフォーマンス向上に効果を出せる量(体重1kgあたり3〜6mg)よりも少ない量(体重1kgあたり約2mg)でパフォーマンス向上が見られるため、どの成分がどの割合でなのかは不明ですが、もしかしたらカフェインと糖以外に効能のある成分があるかもしれないと考えられています。

エナジードリンクに含まれるカフェインは安全か?

カフェインの副作用については、過剰摂取により不眠、イライラ、不安感、胃のもたれ、頭痛や吐き気、嘔吐、血圧と心拍数の上昇などが見られます。健康的な成人であれば、400mgまでならば悪影響との関連が見られないとのことですが、3,000mg程度を数時間以内に摂取した場合に顕著な副作用が見られ、5,000mgを超えて1度に摂取すると死に到ると言われています。これら数字は使用者の性別、年齢、体格、肝臓の酵素、アルコールや他の薬物との併用、持病、どれくらいの時間内に摂取したか、体調などにかなり影響されますので、個人差は大きいと考えられます。少ないケースでは1回250mgのカフェイン摂取で副作用が見られたとの報告もあるそうです。これはコーヒー約2杯分に相当します。エナジードリンクの場合は、カフェインと糖以外の成分がカフェインの効果を増強・或いは減弱させる可能性も指摘されており、カフェインの効きが読めない部分があります。

エナジードリンクの副作用

エナジードリンクの副作用は、健康な成人がメーカーの推奨する範囲内の量で摂取した場合はほとんど見られていないようです。その一方、気になる報告があります。例えばカフェイン+タウリンなどのように特定の成分との組み合わせや、推奨量の2倍を摂取したことで、短期間だけの研究ですが、血圧や心拍数に変化が見られました。これが健康にどう影響するのか、そして長期に渡る摂取による影響は不明です。通常のカフェインの研究では、コーヒーを飲むなどしてカフェインを日頃から摂取している者に対しては、心拍数や血圧などのカフェインで起こる副作用が小さいことが見られています。エナジードリンクの、長期に渡る摂取の危険性未知な部分が多いです。もし飲む場合は、少なくともメーカーの推奨量は超えないことが安全性を確保する上で重要になりそうです。

エナジードリンクは売り方も問題点が指摘されています。通常の清涼飲料水としてスポーツドリンクなどと並べられて売られていることもあり、普通の清涼飲料水と思わせてしまう部分があるようです。したがって、注意していないと口あたりの良さからがぶ飲みしてしまうことも考えられることから、未成年者に対しても注意が必要です。また、エナジードリンクとアルコールとの併用は副作用を強めると指摘されており、避けたほうが無難です。

エルゴジェニックエイドとしてのエナジードリンク

エナジードリンクは競技パフォーマンスやトレーニング中のパフォーマンスを高めるサプリメントとして利用できる部分があります。気分・リアクションタイム・覚醒に関する指標が向上し、無酸素・有酸素運動に対しても一部のパフォーマンスが向上したという報告があります。どの量をどのタイミングで摂取するのか、使用者がカフェインに対して反応する体質なのか、メーカーごとの成分の違いによって、その効果には差が出てきます。例えば、ある製品を有酸素運動前に摂取してもパフォーマンスに全く効果がなかったとされる研究もあります。このことから、どの製品が良いかというアドバイスが難しそうです。詳しい情報にご興味がありましたら、このブログの参考文献をぜひ一読ください(※英語)。

まとめ

  1. エナジードリンクは、上手く利用すれば競技パフォーマンスや精神活動に役に立つ場合もありますが、メーカー推奨の量以上の摂取はお勧めできません。
  2. アルコールとの併用は禁物です。
  3. 個人差があります!常に自分の体質を把握していましょう。
  4. 持病などに関連してのことは、主治医の指示に従ってください。

おいしい、眠気が吹き飛ぶからといってエナジードリンクを大量に摂るのは控えましょう。ここではエナジードリンクのみを挙げていますが、それはコーヒーであっても同じことが言えます。何事もほどほどが一番です。

Atlas Motohashi

参考文献

Campbell et al.: International Society of Sports Nutrition position stand: energy drinks. Journal of the International Society of Sports Nutrition 2013 10:1. [リンク]

タイトルとURLをコピーしました