体形改善の目標を持つ人が増えてきた中、減量の目的に限定したサプリメントを見かけるようになりました。メーカーがさまざまな宣伝をする一方で、あまりお金をつぎ込むのにはふさわしくないサプリメントも出回ってます。
今回は、減量効果が科学的にはっきりとみられていないサプリメントを2つご紹介します。
L-カルニチン
L-カルニチンは、脂肪酸をミトコンドリアへ運ぶ役割を果たしています。ミトコンドリアは、エネルギーを作り出す工場の役割を果たす細胞器官です。
細胞に含まれるカルニチンの量が少ないと、脂肪をエネルギーとして使う能力は低くなります。そこでL-カルニチンをサプリメントとして摂り、細胞内のカルニチン量を増やしてあげることで、「体脂肪の燃焼効果」を上げるというのが基本的な考え方です。
ところが、カルニチンをサプリメントとして摂取しても、筋肉内のカルニチン量が増えたという報告はほとんどありません。唯一、筋肉内のカルニチンが増えたという報告では、摂取カロリーを大幅（+640kcal/日）に増やした上で、6ヶ月もカルニチン摂取を続けようやく筋肉内のカルニチン量が増やせたとされています。これは、合計約115,200kcalもの余剰カロリー摂取をする羽目になり、体重・体脂肪の増加につながると考えられます。
カルニチンの減量効果
カルニチンの減量に対する効果を調査した研究のメタ解析では、カルニチンに減量促進効果があることが示されています。
ただ、その効果の値は決して魅力的なほど大きいわけではありません。微々たる効果に対してお金をかける価値があるのかは、検討の余地がありそうです。
CLA（共役リノール酸）
CLA（共役リノール酸）は今でも人気のある減量系のサプリメントです。これが市場に出回り始めた頃、このサプリメントはたいへん話題になりました。
ネズミのようなげっ歯類を対象とした研究では、12週間で体脂肪率が10%も落ちたという報告があります。そのため、ヒトを対象とした研究でも似たような結果が出ると期待されていました。
ところが、ヒトではネズミのようなハッキリとした効果は確認されませんでした。ヒトが長期間にわたってCLAを摂取することで、ほんの僅かに減量効果の差がみられています。しかし、せいぜい1ヶ月につきせいぜい約200g程度の差で、カロリー収支を調整すれば簡単に達成できてしまいます。
これだけの成果を出すのに1ヶ月に数千円以上本当にかける価値があるのか検討の余地がありそうです。
確実に減量で効果をあげるには基本を大切に
サプリメントによって減量効果を大幅に上げることは期待できません。
減量効果を着実に出すには、基本に忠実である必要があります。そのために、次のようなことをオススメしています。
- カロリー収支をマイナスにする
- たんぱく質を十分に摂る
- 脂質と炭水化物の割合は好みによる
- 長い間継続できる食生活を選ぶ
サプリメントメーカーの謳い文句に惑わされることなく、科学的根拠があるものを選んでお金を無駄にしないようにしましょう！
Atlas Motohashi
