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腹筋を割るための筋力トレーニング

6パック

身体づくりをしているトレーニーにとって、割れた腹筋ほど魅力的なものはないですね。夏が始まり、海などへ出向く際は今までのトレーニングの成果を存分に発揮したいものです。割れた腹筋を手に入れるためには、食事と効率良い筋力トレーニングが大事です。今回は、腹筋を割る方法について見ていきましょう。

絶対に欠かせない減量と腹筋の立体感を出す筋力トレーニング

腹筋と一括りにして呼んでしまっていますが、どんな構造をしているのでしょう?まずは下の図をご覧ください。

腹筋解剖

Wikipediaより

それぞれの筋肉の名前は覚える必要はありませんが、腹筋が複数の筋肉で成り立っているのを確認してください。脇腹の筋肉(内・外腹斜筋 Internal/External oblique)は忘れてはいけない存在ですが、腹筋が6つに割れているように見えるのは、腹直筋 Rectus abdominis と呼ばれる筋肉によります。図をよく見ると、きちんと割れ目がありますね!それにもかかわらず普段腹筋が割れているようには見えないのは、体脂肪がこの割れ目を覆い隠してしまっているからです。体脂肪を落とすためには割れ目を隠している“覆い”を無くす減量が、必要条件となります。

フィットネスの世界で「腹筋はキッチンで作られる」と言われる理由です。

腹筋を割るためには食事が成功の8割を握っていると言っても過言ではないです。正しい減量方法については、過去の記事(こちらこちら)を参照ください。

では、体脂肪量が少なければ理想的に割れた腹筋を得られるかというと、必ずしもそうとは限りません。カッコイイ腹筋の「ボコボコ」とした立体感を筋肉に出そうと思うと、腹筋を他の筋肉と同様に大きくしていく必要があります。つまり、筋肉に負荷をかける筋力トレーニングを行う必要があるのです!

トレーニングの基本種目を高重量で行うことで腹筋は鍛えられるか?

トレーニングコミュニティーではよく次のような言葉を聞くことがあります。

トレーニングの基本種目を高重量で行うことで腹筋は鍛えられる。あえて腹筋を直接刺激する種目は入れなくても良い。

トレーニングの基本種目とは、複数の関節を同時に使う種目で、特にバーベルや自体重を用いたスクワット、ベンチプレス、デッドリフト、チンニング(いわゆる懸垂)、オーバーヘッドプレスなどを指すことが多いです。

本当にこれらトレーニング種目を高重量で行うことで、鍛えられたボコボコの腹筋を得られるのでしょうか?

Basic Exercises

これら基本種目のいくつかは、実施中の姿勢を保つ為にいわゆる体幹部分を固める必要があり、その際に腹筋を使います。例えばスクワットやデッドリフトでは、ある程度の腹筋の活動が見られます[1, 2]。また、立位で行うオーバーヘッドプレスでは、スクワットやデッドリフトを上回る腹直筋の活動が見られます[3]。もちろんトレーニング種目のバリエーションや、使用するテクニックや、個人差などによって違いは出てくるものの、基本種目を行うことで腹筋は鍛えられていると言い換えることができると思います。そのため、基本的なトレーニング種目のフォーム習得に時間を費やしたい筋力トレーニング初心者は、基本種目に集中することで腹筋も同時に鍛えられ、一石二鳥になりそうです。

ただ、例として挙げた基本種目と、腹筋に特化したトレーニング種目とを比較してみると、必ずしも基本種目が腹筋種目よりも優れているとは限らないようです。例えば、高重量を扱ったスクワットやオーバーヘッドスクワットよりも、プランク、サイドプランク、バランスボールを利用したジャックナイフ、脚を伸ばしてのシットアップの方が腹筋の活動が強かったとする研究があります[4]。さらに、腹筋を効果的に大きくしていくには、「腹筋は活動するが、動きが出ない」アイソメトリック収縮を主体とした腹筋種目(いわゆる「コアトレーニング」)よりも、コンセントリック・エキセントリック収縮を伴った、動的な腹筋種目を取り入れるのが好ましいとする見解があります[5]。

筋力トレーニングの目的が明確な中級者以降では、基本種目の実施に加え、動的な腹筋種目を別途行い、腹筋だけに特化して鍛えるのは「アリ」な選択と考えます。

腹筋種目とその実践

腹筋を大きくするには、他の部位と同様に動的な筋力トレーニングを行うのも中級者以降ではありだ、というのが理解できたところで、どうやって腹筋種目を導入するかを見ていきましょう。腹筋種目を導入する際は、次のことを考慮する必要があります。

  1. 効果的なフォームを用いる
  2. 目的とする部位に負荷をかける
  3. 徐々に筋肉に対する負荷を増やす

1つずつ見ていきましょう。

効果的なフォームで行う

腹筋種目を導入する際、一番力を入れて欲しいのが効果的なフォーム作りです。フォームが悪いと、腹筋ではなく他の筋肉、例えば腰の筋肉を強く使うことになります。もちろんこれら筋肉を鍛えてはいけないわけではありませんが、腹筋への刺激が減り、本来の目的からは外れてしまいます。また怪我を未然に防ぐ為にも重要です。フォームは特に以下の2つを心がけてください。

お腹を丸める

腹筋種目のテクニックで重要なのは「お腹を丸めていく」ことです。クランチはもちろんのこと、リバースクランチやハンギングレッグレイズでは「お尻を巻き上げるようにしてお腹を丸めて」いきます。この時に背中側は大きく弧を描くように丸くなっています。クランチやシットアップなどで背筋を張ったまま上体だけを起こそうとしたり、リバースクランチの時に背中が真っ直ぐのまま膝を胸の方に引き付けたりするだけでは腹筋は強く働きません。簡単そうに聞こえるのですが、指導現場ではかなりのクライアントさまが出来ていないことの1つです。

反動を抑える

多くの方は回数だけこなすことに夢中になり、手で頭を引っ張ったりお尻を上下運動をうまく使ったりして勢い良く身体を起こすことがあります。勢いを使うことで、腹筋を活動させることなく動作が行えてしまいます。また不必要に速い動作は、背骨に対する怪我のリスクを大きくすると考えられます。腹筋種目を行う際は、息を吐くのに合わせて1~2秒かけて少しゆっくりと行ってみて下さい。これ以上長い時間をかける必要はありません。

腹筋種目はいくらでも出来て簡単だという方でも、この2つを修正するだけで今まで出来た回数が全くこなせなくなることが多いです。安全性と効果の両方の側面から、まずは正しいフォームを習得することが大切になります。可能であれば適切なフィットネス指導者にフォームをチェックしてもらいましょう

目的となる部位に負荷をかける

腹筋と一口に言っても、実際には複数の筋肉から成り立っています(先ほどの図を思い出してみてください)。どんな種目でも腹筋の筋肉全てをそれなりに使っていて、特定の部位(腹筋の上部、下部、脇)だけを個別に動かすというのはできません。ただ、種目によっては腹筋の下部により効くものもあれば、上部や脇腹により効くものもありますので、ある程度の鍛え分けは出来そうです。バランスよく腹筋を鍛える場合は、ベストな腹筋種目を選ぼうとするのではなく、個人の目的やトレーニング経験のレベルなどを考慮した上で複数の種目で鍛えていくことは有用と考えます。

腹筋種目のバリエーション

以下に、特に腹筋に良く効くと研究で示された種目を幾つかご紹介します[6, 7]。勿論このリストにあるものだけではなく、ご自分が「効くな」と思った腹筋種目は、安全性が取れるのであれば様々お試しください。

腹筋の全ての部位に万能なトレーニング種目

脇腹も含めた腹筋全体を刺激できる万能な種目です。効果が高い一方で、初心者がいきなりは出来ない上級者向けの種目でもあります。他の腹筋種目で充分鍛えた上で、やさしいバリエーションからスタートするようにしましょう。

アブホイール・ロールアウト

動画では膝立ちで動作を実施しています。筋力が強くなれば、立ち上がって同じ種目を行えます。


アブホイール・パイク

動画では膝を伸ばしたまま行っています。慣れなければ、膝を曲げながら胸へ引き付けて行うことも可能です。また、脚のホイールはバランスボールで代用可能です(難易度も落ちます)。

腹筋上部

クランチ

腹筋と言えばこの種目が代表的です。足をベンチの乗せて行うことも出来ます。動画のバリエーションはトランクカールやカールアップとも呼ばれています。

ご紹介した動画内では、腕を頭上にバンザイしていますが、こうすることで腹筋にかかる負荷が強くなります。

ディクライン・リバースクランチ

お尻を巻き上げることで、お尻がベンチから離れていくのに注目です。

腹筋下部

ハンギングレッグレイズ(肘のサポートアリ)

脚を持ち上げているだけではなく、お尻を丸めているのに注目です。膝をある程度伸ばして行うことも出来、正しいフォームが取れている限りは腹筋への負荷も強くなりますが、完全に伸ばすと腿の刺激が強くなりすぎますので、軽く曲げておくようにしましょう。
また、この種目は下部腹筋に分類されていますが、上部と脇腹の筋肉にも高い活動が見られる優秀な種目です。

脇腹

捻りを加える

一般的に、上記でご紹介した腹筋種目に捻りの動作を加えることで、脇腹がより多く使われると言われています。この辺りは研究により曖昧ですが、テクニックがうまい方はよく効きます。ご自分で試して頂いて効くようであれば取り入れてみて下さい。

サイドベンド

ダンベルを片手に持ち、ダンベルを持っている方の側へ上体を倒していきます。ダンベルを持っていない側の筋肉を鍛えています。怪我予防の為、慣れない段階でストレッチのし過ぎ・目一杯上体を横に倒すのは控えた方が無難です。

また、脇腹を効果的に刺激することで、ウエストが筋肉で太くなることを懸念する場合は、体形の変化などを見ながらこの種目の負荷やトレーニング量(回数×セット数)を調整してください。

サイドベンド

サイドベンド(図はeverkinetic.comより)

 

ここまでご紹介した種目は、あくまでも研究データ上高い効果が見られたものですが、まだまだ研究されていない種目も沢山あります。ご自分で試して頂いて、「効く」と感じたものをトレーニングプログラムに取り入れていけると良いと思います。

トレーニング量は徐々に増やす

これも安全性と関わりますが、ケガがないように少しずつ負荷(重さ)とボリュームを増やしていくことがポイントとなります。特にスクワットやデッドリフトなどの高重量を支えるトレーニング種目を行っている場合は、腹筋はある程度すでに使われており、場合によっては腰椎に負担がかかっていることも予想できます。腰椎の負担を考慮し、トレーニング量は少なめの量でスタートして下さい。私のパーソナルトレーニング指導では、1種目だけを15回×2セットからスタートする方針を採用しています。また、1回のトレーニングで、腹筋の種目だけで合計60レップ前後(種目数×回数×セット数)を上限値とする見解もあります[5]。トレーニングプログラム全体を考慮して、腹筋種目だけをやり過ぎないようにしましょう。

かける負荷に関しては少し強めにします。筋肉を大きくするのが目標ですので、1セットを6~15回の範囲で行えるように負荷を調整してみましょう。

どの種目でもある程度腹筋全体を使っていること、出来るだけ種目のバリエーションを増やしてバランスよく筋肉を刺激したいこと、週1~3回トレーニングを実施したいことなどを考慮すると、1回のトレーニングで1種目ずつ実施するにしても、それぞれの日に違う腹筋種目を行っていくのはありだと考えます。以下に例を示します。

それぞれのトレーニング日に腹筋種目を変える例

クランチ
12~15回3セット
ディクライン・リバースクランチ
12~15回3セット
アブホイール・ロールアウト
12~15回3セット

これはひとつの例にしか過ぎませんが、目標、トレーニングスケジュール、回復力、腹筋のどこを鍛えたいかなどを考慮し、自分なりのプログラムを探してみましょう。

腹筋種目における負荷の増やし方

まず負荷を増やす前にフォームが完璧かどうかを再確認しましょう。先ほども述べたように、フォームの修正だけで負荷のアップになることも多いです。正しいフォームを決して侮ってはいけません。その上で、負荷の増やし方には以下の方法が挙げられます[7]。

やり方を工夫する・難易度を上げる

例えばクランチでは、動作中の手の位置だけでも負荷の変化がつけられます(やり方の工夫)。

  1. 体側付近で床に腕を置く
  2. 胸の前に置く
  3. 頭の後ろで組む
  4. バンザイをするように頭上に挙げる

リバースクランチでは、実施時の身体の角度を変えることで難易度を上げることができます。

  1. 床でのリバースクランチ
  2. ディクライン(角度の付いたベンチを利用する)リバースクランチ
  3. ハンギングレッグレイズ

レッグレイズ床で行うリバースクランチ

上記2種目のバリエーションは、数字が大きくなる程に段々キツくなってきます。それぞれ試して頂いて、回数がこなせる適切な負荷を探してみて下さい。

外的負荷を用いる

負荷を増やす為に、ダンベルやバーベルのプレートなどの外的負荷を使うのもいいでしょう。クランチであれば胸の前でダンベルを抱える、肘を伸ばして負荷を身体の前で持ち運動を行う(動画をご参照ください。)のもキツイやり方です。

レッグレイズでは、足首に重りを巻くのも使えます。いずれにしても、適切なフォームを維持できることが前提です。

まとめ

いかがでしたか?闇雲に何百回も腹筋種目を繰り返すのではなく、ダイエットの重要性と効率の良い筋力トレーニングの重要性がお分かりいただけたら幸いです。以下に今回のポイントをまとめてみましょう。

今回のポイント

  1. 腹筋を割る為には、食事で体脂肪を落とすことが必須
  2. ボコボコとした立体感を出すためには腹筋の筋力トレーニングが必要
  3. 特に初心者では、トレーニングの基本種目に集中するだけで腹筋が充分鍛えられる
  4. 中級者以降で腹筋をさらに鍛える為には、腹筋種目の導入もあり
  5. 腹筋種目は安全性と効果の面で、フォームが命
  6. 必要であればフィットネス指導者にフォームのチェックをお願いする
  7. 目的の部位に合わせて種目を選んでいく
  8. 他の部位の筋トレ種目との兼ね合いや腰椎への負荷を考慮し、少ないトレーニング量から始め、徐々に増やす

バキバキの腹筋を作っていくと決心した時は、今回の内容を是非試していただければと思います。理想の腹筋を目指しましょう!

Atlas Motohashi

参考文献・サイト

  1. BRESSEL, Eadric, et al. Effect of instruction, surface stability, and load intensity on trunk muscle activity. Journal of Electromyography and Kinesiology, 2009, 19.6: e500-e504. [リンク]
  2. ESCAMILLA, Rafael F., et al. An electromyographic analysis of sumo and conventional style deadlifts. Medicine and science in sports and exercise, 2002, 34.4: 682-688. [リンク]
  3. WILLARDSON, Jeffrey; FONTANA, Fabio E.; BRESSEL, Eadric. Effect of surface stability on core muscle activity for dynamic resistance exercises. International journal of sports physiology and performance, 2009, 97. [リンク]
  4. ASPE, Rodrigo R.; SWINTON, Paul A. Electromyographic and kinetic comparison of the back squat and overhead squat. The Journal of Strength & Conditioning Research, 2014, 28.10: 2827-2836. [リンク]
  5. CONTRERAS, Bret; SCHOENFELD, Brad. To crunch or not to crunch: An evidence-based examination of spinal flexion exercises, their potential risks, and their applicability to program design. Strength & Conditioning Journal, 2011, 33.4: 8-18. [リンク]
  6. ESCAMILLA, Rafael F., et al. Electromyographic analysis of traditional and nontraditional abdominal exercises: implications for rehabilitation and training. Physical Therapy, 2006, 86.5: 656-671. [リンク]
  7. SuppVersity EMG Series – Rectus Abdominis, Obliques and Erector Spinae: The Very Best Exercises For Sixpack Abs and a Powerful Midsection. Suppversity, 2011 [リンク]

Credit: エクササイズイメージ
Everkinetic.com [リンク]